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受験体験記(ITストラテジスト)

ITストラテジスト試験について、個人的に、他の受験区分と比べると受験対策の情報が少ないように感じましたので、これから受験される方の参考になればと思い、受験体験記を作成しました。

特に、午後Ⅱの対策として心がけたことなどを書いていこうと思います。

ITストラテジストとは

ITストラテジストは「経営とITを結びつける専門家」とされています。合格者は情報処理技術者試験区分の中で唯一、労働基準法第14条における「専門的知識等を有する労働者」として認められる、というのもこの試験の特徴です。

www.ipa.go.jp

受験のきっかけ

私は数年前にもこの試験を受験することを試みていますが、挫折しました。午後Ⅰまでの勉強を真剣に取り組んだ後、さぁこれから午後Ⅱに取り掛かろうとした時、全く論文が書けなかったからです。本当に何のアイデアも出てきませんでした。さらに当時は仕事の忙しさもあり余裕がなく、あぁ自分にはまだ力がないということか…と泣く泣く諦めました。

その数年後に再度受験を目指したのは、社外の方と交流する研修を受講したことがきっかけでした。この研修では上場企業の社長や大学教授など、様々な有識者の方々から、経営戦略の話を聞くことができました。大変面白く、自分の社会人人生としても大きな経験になりました。そして研修を修了後、もう一度ITストラテジストを目指して頑張ってみよう!と思い立ち、勉強を再開しました。この時は受験の3ヶ月前でした。

午後Ⅱの受験対策

私が心がけたポイントは3つです。

論文テーマを1つに絞る

過去問からいくつかの論文パターンがあることはわかっていました。ただ、複数のパターンごとに対応ケースを作ることは限界があると思い「何が来てもビジネスモデルのテーマで勝負する」と心に決めました。逆にそれ以外のテーマが来たら運がなかったと諦めるつもりでした。

社外研修で学んだ内容からイメージを膨らませて、オリジナルのビジネスモデルを作りました。具体的には、普段から利用している近所のスーパーを舞台にして、研修で学んだDXの成功体験と掛け合わせました。そして、会社概要、ライバル社との競争、顧客クレームなど、日々そのスーパーを利用する中で想像される内容を盛り込んでストーリーを作り上げました。この内容で設問アの800字を書き切れるよう、パソコンで何度も記述を繰り返しました。

過去問で問われた内容で肉付けする

過去問から問われる内容をリストアップし、自分が準備するビジネスモデルでどのように答えられるかを繰り返し練習しました。具体的には、

  • DXの取り組み
  • ターゲットとした顧客とニーズ
  • 活用したデータとディジタル技術
  • 経営層からの提案
  • 効果を評価するKPI
  • 推進体制

などの質問を過去問から拾い上げ、それぞれ100字程度で論述できるようなモジュールを準備しました。私はテーマをビジネスモデルに絞ったため「どのようなリスク対応をしたのか」など答えにくいものがいくつもありました。それらも少なくとも部分点を取れるように、都合のいい回答でも良いから自分の世界に引き込んで書き切る、ということを心がけました。

書き方を統一

文章の書き方を常に意識しました。

「私は、〇〇をした。具体的には〇〇である。その理由は〇〇だからである。」

この形を繰り返して、求められる文字数まで書き切る形をとりました。こうすれば準備したモジュールを当てはめていくことで論文に仕上げることができます。

受験当日

問題選択

まずは問題選択です。3分以内で選択しました。判断基準は「準備したビジネスモデルとして回答できそうなのはどれか」なので明確です。ところが残念ながら、ビジネスモデルを答えよ、というど真ん中で対応できる設問はありません。結局悩んでしまった結果、「システム改修と対応方針」というキーワードがあったので、これであれば無理やりビジネスモデルの話に繋げられると考え、問題を選択しました。

アジェンダ作成

論述ポイントを見出し形式で作りました。設問アはすぐに書けるので省略。設問イと設問ウの展開を、準備したモジュールでどう組み立てていくかです。ビジネスモデルとして答えることが題意ではないため、ビジネスモデルを俯瞰して、「何が問題であったのか、それをどう解決したのか」という点でモジュールを組み替えました。これは過去問から様々なケースでモジュール作成していたことが功を奏したと思いました。

記述

あとは時間いっぱいまで書きました。設問イ→設問ウ→設問アの順番で書いていきます。回答用紙の最後まで、消しゴムは使わずに書き切りました。そして残り10分で見直しを始めた際に「何が問題であったのか」を設問アの最後で記載した部分が、最初に設問イとして書き始めた部分と繋がっていないと感じました。多くの方が設問イから書き始めると思いますので、最後に書く設問アとの連結に違和感を覚える方も多いと思います。この違和感を少なくするためには、アジェンダ作成を入念にすることが良いと思います。私はアジェンダ作成の際に、設問アを省略しています。これが裏目に出てしまいました。なので、これから受験される方は、設問イで書き始めるモジュールが、リレーのように設問アのバトンを受け取れているか、しっかりアジェンダ作成の際に確認することが大事だと思います。

2時間はあっという間、でも意外と時間はある

私は筆記が苦手です。書くスピードも遅いです。お世辞でも綺麗な字とは言えません。そんな私でも、見直し時間として10分強を残すことができました。なので、必要以上に焦らなくても大丈夫だと思います。反省点としては、あと1分〜2分ほど、アジェンダ作成に時間をとっていれば。そして、設問アとイの繋がりを意識できていれば、見直しの結果書き直す、という無駄な時間を省けたので、もっと余裕ができたのではと思います。

結果が出るまでは忘れる

正直、自信はありませんでした。ビジネスモデルを求めない出題に、無理やりビジネスモデルを捩じ込んだためです(割り切って試験に挑んだつもりでしたが...)。合格発表まではモヤモヤしますが、気持ちを切り替えて仕事に専念するようにしました。

結果はWebで確認しました。「合格」という文字がこれほど嬉しかった資格試験はありません。そして、SEとして長年憧れた試験に合格できたという喜びは忘れません。

これから受験される方もぜひ頑張ってください!

ITストラテジスト試験に合格してからの変化

何も変わっていません…合格時に会社から奨励金は出ましたが、給与面や待遇などは全く変化なしです。ただ、自分の中で自信がつきました。ある意味これが一番大きいのかもしれません。会社で上司や幹部と話をする時、お客様と会う時、いろんな場面で「ITストラテジスト」という名前が私の背中を押してくれていると感じています。